絶望の絶頂からいただいた相談

1年ほど前に右肩を痛めて以来、体調を崩したり、メンタルが低下したり、おまけに左肩まで痛くなり、服の脱ぎ着などが思うようにできなくなり、さらに介護や仕事でいっぱいいっぱいという心身ボロボロの状態の方から相談を受けたときのことです。
 
  
整形外科に行くと、最初の診察で「そんなに何もかも言われても対応できませんよ」「年齢的なものもある」と言われ、もう何をやってもよくならないのかと絶望する気持ちになり、気の優しいその方は「自分はモンスターペイシェントなのだろうか」と自分自身を嫌いになったとのことでした。
 
整体に行くと、一番痛みが出る動作は見てくれず、違う動作(腕の可動機を調べる動き)をして「可動域が改善しましたね」と言われ、家に帰ると30分で痛みが戻り、整形外科も整体も効果が実感できなかったそうです。
 
その方は何度か私のパーソナルレッスンを受けていらっしゃる方であり、オンライン講座の受講生でもあります。お互いがお互いをどんな人物かを知っている上での相談なので、言葉にならない思いも含めてその方の思いを受け取りつつ、起きている問題に対する処方箋となる選択肢を客観的に述べ、結果、パーソナルレッスンを受講していただくことになりました。
 
対面することで色んなことが見えました。
 
簡単に言うと、西洋的な見方では見えないことが、東洋的な見方では身体の問題の原因として浮上することがありますよね。そういう発見です。もちろんそれは本人が自覚していない部分なので、対面しないと見つけられません。
 
レッスンをしながら色んなお話をするのですが、前述のその方を突き放した医者に関しては、彼女の代わりに私が(ここには書けないほど)ボロクソに批判しました。それは医者以前の問題だと。(ちなみに私のレッスンの場合は、逆に何もかも教えてくれた方がその人の身体を一気に理解できるので根掘り聞き出します。現代の医者の在り方とは真逆。というかこっちが本来の医者なのでは?)
 
あとは話をしていてなんとなく「今までで一番幸せだったときのことを教えてください」と聞いてみたところ、演劇のメソッドを習っていた頃の心が解放される体験をしたことを話してくださいました。そしてしばらくその幸せな感覚を何度も思い出して浸ってくださいともお伝えしました。(要は、自己嫌悪に陥りやすい気の優しい人には、もっともっと調子に乗ってほしいのです。)
 
そして、これまた「本人が自覚していないけど対処してあげないと身体が辛い」というポイントをいくつかアドバイスしました。
 
一つは全身の皮膚の保湿。
 
保湿といっても、どんなふうにやればいいかという部分については、認識の差がかなりあるのではないかと気づきました。だからその方の足にクリームを塗りながら、皮膚へのいたわり方を実演しつつ説明をしました。
 
そして身体の状態とお話から、水分と塩が足りていないのではないかと思ったので、そのアドバイス。(やりっぱなしではなく、意識的に水分と塩を摂ったことで身体が楽になるかどうかを確認することも大事。もし変化を感じない場合は、それを実践してもしなくても良いと分かるからです。)
 
そしてもう一つは肘の動きのレクチャー。
 
レッスン(ほとんど施術)で肩の動きや首の痛みの改善がきちんと見られたので、私の見立ては合っていると判断しました。さらに回復を早めるためには、理にかなった動きをやりまくることが大事です。(やってはいけない動きももちろんアドバイス)
 
とにかくまず一番大事なことは、絶望の淵にいた状態から「こうすればここから抜け出せるかも」と実感してもらうことです。
 
私はいつも、本人よりその人の身体の可能性を感じているので、その他にも色々とアドバイスをしました。
 
その方はおそらく、レッスン代を支払うのが大変だけど、どうしようもなくて来てくださいました。決して安くない代金を支払って、私を頼ってくださることはトレーナーとして大変光栄なことです。