身体の良し悪しの考え方 〜爪とか肩こりとか〜

大事な話をします。

色んな方から「美容院で肩がかなり硬いですね」とか「凝っていますね」と言われたことを、ちょっと悲しい感じでお話しいただくことがあります。

そういうとき私が返す言葉はいつも決まっています。

「あなたは、肩凝りを感じていないんですよね?」と。

するとほぼ100%の方が「はい」と答えます。

治療家に言われたならまだわかるのですが、身体のプロではない美容師に言われたことに対してショックを受けている人は意外と少なくありません。

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「実はね、海外ではそもそも肩こりという概念自体がない国もあるそうですよ」

「そうなんですか!?でも美容師さんはたくさんの人の肩を触っているわけだから、比較して言ったのでは・・・」

「他人と硬さを比較して、硬い人が肩こりであるというわけでは決してありません」

「硬い身体には硬いなりのバランスがあるんです。逆に柔らかいからといって問題ないということもありません」

「美容師さんに言われたからといって問題意識を持つ必要はないです」

・・

ということをお話ししたりします。

こういうたぐいの話は本当によく耳にします。

そうやって不要なところで自分の身体の評価を下げている人が山ほどいます。

これを読んでいる美容師さんも、肩揉みをするときの会話はちょっと気を遣ってあげてほしいかなと思います。意外と気にする人が多いみたいなんですよね。(多分、美容師さんは労わるつもりでおっしゃっているのだとは思いますが)

ちなみに私がもしそういうことを何か言われたとすると、100%、右から左へ流れてゆきます。

たとえば私の足の爪は「深爪ですか」というくらい短くしているのですが、ネイリストさんは決まって「短すぎると巻き爪になりますよ」と言いいます。そういうときはいっつも心の中で「心配ありがとう。でも、ならないよ」と思っています。

一応解説しておきますと、爪が短いから巻き爪になるのではなく、足指が踏ん張れていない人は足指の先端に体重が乗っていない(=圧力がかからない)が故に爪が平らになる機会がなくて巻き爪になる要因が生まれるんです。

手の指で考えた方がわかりやすいでしょう。ピアニストが巻き爪になりますか?いつも指の先端で鍵盤を叩いているのだから、なるはずがないですよね。そしてピアニストが爪を伸ばすと鍵盤をうまく弾けないので伸ばすなんて御法度ですよね。足もそれと同様です。爪を伸ばすと床と仲良くなれません。しかしそういうことを考えたことがないネイリストさんは非常に多いだろうと思います。

私のレッスンに来られる方も爪を伸ばしている人には「なぜ伸ばすと具合が悪いのか」を一度説明するのですが、だいたい1/3くらいの方がネイリストさんに伸ばした方が良いと言われたことがあると言っていますし、「なんとなく、伸ばしたほうが良いのかなと思って」ということをおっしゃる人はかなり多いです。

そういった誤解を理論的に説明したり、すでに巻き爪になりかかっている場合は徐々に移行していく方法をアドバイスしたりして、身体の捉え方を変えていってもらっています。が、結構そういった細部がいかに全身に大きな影響を及ぼしているかというところにまではなかなか想像が及ばないので、軽視する人は多いです(私に言わせれば、爪が長いのと短いのでは感じる世界が雲泥の差なんですよ。長い爪は縛られているように感じます)。

ちなみに「ネイルが好き」という方にはもちろん強制はしません。ただ、腱鞘炎や五十肩、膝や足首の痛みがある人などで爪を切った方が良いと判断した人にはそのとき回復の観点からお話しすることはあります。

生徒さんが気になるところと、私が気にしてほしいところはいつも結構ズレているところがあります。当然と言えば当然です。でもこういうことって本当にバカにならないことなので、これからも色んな形で言い続けようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございまーす!