時間をかける/反応を遅らせる/スローを制する

コロナ禍になって、私の活動は一人一人とより濃密に関わる形に移り変わっている。
 
もともとそういうスタイルだけど、それがより増している。
 
 
SNSでは、いかに短い情報でインパクトを与えるかという流れが加速してるけれど、コロナによって簡単に人と会いづらくなった今、私は逆に一人一人と長く話すことが重要だと思っている。
 
私は高校の頃、通学に1時間かかっていた。部活仲間と毎日1時間、色んな話をしながら帰る。この時間は、仲を深めるためにはとても重要な時間であったと今ならよくわかる。卒業後は、同期の男子2名とよくサイゼリアで語り明かした。(8時間くらい!)また、実家にいる頃は母と、これ以上一体なんの話をすることがあるんや?というくらいよく喋っていた。最近でもたまに3時間くらい電話で話すこともある。色んな話を長い時間をかけて話すことでしか生まれない関係性がある。
 
2020年は自殺者数が増加してしまった。特に女性と子供の数がだそうだ。私と関わってくれた人の中にも、もし本気で考えている人がいるとしたらと考えるととても怖い。数年前にレッスンに来てくれたあの人は元気だろうか、と思いを巡らせたりする。
 
色んなことを話すことで、自分自身の考えがまとまってきたり、感情が解消されたり、思わぬアイデアが湧いたり、思わぬ展開が起きたりする。そうやって、長く話すことで活力が湧いてくる。
 
それでもなかなか話す相手がいないというとき、自分一人でも活力を生み出す方法は、「時間をかけること」が良いと思う。すぐに考えがまとまらなくてもいい。すぐに答えを出そうとしたり、解決しようとしなくていい。「反応を遅らせる」ことは、より感情と切り離されていくので、冷静に全体を見て考える視座を与えてくれる。
 
身体づくりにおいても、短時間で成果を出す手段ではなく、時間を味方につける手段(時間をかければかけるほど変化が加速する状態を作る)を私は勧めている。エクササイズについても、動きの正確性を最も重視するため、基本スローで行うことが前提だ。テクノロジーの発展であらゆることが時短できても、人間の身体の機能や能力はそのスピードに適応していない。
 
時間をかけて、リフレッシュしたり、好きなだけ寝たり、本を読んだり、運動したり、紙に書き出したりすることは、自分自身と長い時間、話しているようなものなのかもしれない。