マニアック・ランニング法

久しぶりにランニングをしたので、私のこだわりのランニング法を書き留めたいと思います。かなり詳しく書いていますので、参考にしてくださる方がいたら嬉しいです!
 
 
●第1章〈なんのためにランニングをするのか〉
 
私は球技全般、マット運動、器械体操、水泳、ハードル走、走り幅跳び・高飛び、サーフィン、スノボなど、運動全般なんでも好きです。が、小児喘息だったので気管支が弱く、長距離走だけは大嫌いです。
 
なので、自ら走るなんてことは滅多にありません。
 
でも、身体をたくさん動かして汗だくになったり、筋肉痛になったりするのは大好きなので、気管支を酷使せずにハードな運動ができるバレエは私にとって救世主です。
 
しかしコロナ禍になってから私も運動量が減ってしまい、かといってバレエで追い込むには時間がかかるので、思うような運動量がこなせずにいました。 
 
【理由・その壱】
身体に衝撃を与える

私たち人間の身体は、ある程度の衝撃を与えることが必要です。
 
骨に衝撃を与えることで、体内で骨を作る司令が出て骨が頑丈になり、また、筋力、精力、記憶力UPや、アンチエイジングにも効果があると言われています。

こちらにまとめています
 
ピラティスはもちろん、バレエでは身体に衝撃を与える目的を果たすには非効率です。
 
例えば、寝つきが悪い人でも、よく歩いた日は眠りにつきやすい傾向があると思いますが、元々ホモ・サピエンスの私たちは狩猟採集民族です。移動すること、身体に衝撃を与えることが人間の身体には必要なのだと思います。(私たち人間は20万年前からずっと遊動民だった。人間が移動せず定住し始めたのは約1万年程度の歴史)
 
【理由・その弐】
心拍数を上げてストレス発散
 
移動しない、歩かないライフスタイルは、心拍数がなかなか上がりません。
私は学生時代、かなりの運動量でずっと生活していたので、基礎体力が高いほうです。なので、デスクワークや考え事をしたり、Netflixを観たり、本を読むことも好きなのですが、最近はあまりに体力が有り余って不完全燃焼の状態でした。
 
【理由・その参】
股関節周りのアウターマッスルを動かす
 
コロナ禍になってから、座っている時間が長くなったせいもあり、左股関節、膝関節、距骨のアライメントなどのズレを感じていました。(学生時代のテニス部で骨盤がかなり歪んでいたので、その名残は今でも出てくるときがあります。)
 
これまではピラティスやバレエで解消できていたのですが、今回の私のケースは、柔軟性は全く問題ありません。よく動くのに、ズレた違和感を感じているのです。ビシッと正しく関節があるべき場所に収まってくれていない感じです。そのため可動域ではなく、衝撃を与えることの方が重要だと思い、走ってみようと思いました。

 
ちなみに、今日は本当に10年以上ぶりくらいのランニングだったので、無理せず2.5kmくらい走ってみました。気管支の「ヒーヒー音」は出てこなかったので、ピラティスのおかげで気づかぬうちに心肺機能が良くなっているのかも!と思いました。それよりも(私としては)あまりの運動不足で、足の深層筋が先にギブアップしたので、2.5kmで終えました。
 
さらにちなみに、途中、公園を見つけて、「前から鉄棒やってみたかったんだよな~、誰もいない、よし!」と思ってしまい、寄り道しました。誰もみていないのを確認して、前転・後転をやってみたところ、4年前くらいにやったときより身体は軽く感じました。(4年前にやったときは身体が「ブオン!」と鈍く回転した感があって、大人になったことを感じたものです。今日は「ギュルン!」って感じでした。)
 
昔から私は腹筋系が弱く、背筋系が強いので、前転は1回転もできないのですが、後転は1回転できました。うむっ!合格だっ!(by 煉獄杏寿郎)
 
 
●第2章〈ランニングによって起こるデメリットを最小限に抑える〉
 
ランニング好きな方の身体をみると、ある傾向が見られます。
それは、足の変形です

ランニングは地面からの衝撃を延々と受け続けます。
そのため、着地の仕方がものすごく重要なのです。
着地の仕方がまずいと身体は硬くなり、どんどん故障していきます。
 
特に、足指、足のアーチ、踵骨(かかと)の変形、足首の底屈運動の制限(=前脛骨筋の過緊張)、膝関節痛、股関節の運動制限などがよく起きます。
 
身体に衝撃を与える運動としては良いのですが、このようなデメリットをなるべく抑えたいところ。そこで私がどのように工夫しているかを下記で説明します。
 

●第3章〈マニアック・ランニング法〉
 
【準備・その壱】
フットケア
 
足裏が硬い状態で走り始めるのはご法度です。足の変形や故障につながります。そのため足裏の筋肉がよく働くように、私は私のメソッドでお教えしている『ゴルフボールフットケア』『指曲げ』を行います。
 
【準備・その弐】
テーピング
 
ランニングによる地面からの衝撃を受け続けると、足裏の筋肉がバテてしまい、結果、足の骨が変形してしまいます。また、足裏の筋肉をより発揮しやすい状態にするためにも、足の骨を正しい位置に保持するためのテーピングを巻きます。
 
キネシオテープを使うのですが、それはトレーナーや柔整師の方が一般的に使っている使い方ではありません。キネシオテープは多くの場合、筋肉をサポートする目的で使われています。そして、筋肉の走行に沿って貼ることが多いようです。私の使い方はこれとは全く違います。
 
筋肉を正しく使えるように、骨を正しい位置に保持する目的で巻きます。そのため、筋肉の走行に沿って走るということはありません。キネシオテープは伸びるテープなのですが、その伸縮性を利用し、テコの原理を応用して骨がズレないように、適切な場所に適切な方向、圧力、伸長(テンション)をかけ巻きます。(もっと言うと、シワの走行、皮膚の色味や状態もみて巻きます。)
 
【アイテム・その参】
スポーツブラ
 
女性の場合、走る衝撃で胸のクーパー靭帯が切れてしまいます。クーパー靭帯は靭帯なので筋肉のようには回復しません。たくさん切れてしまうと、胸を引き上げた状態を保持できなくなってしまいます。
 
また、胸が垂れることで皮膚が引っ張られてしまい、そうすると肩甲骨の可動性にも悪影響が及びます。そのためなるべく胸の上下運動を抑える目的でスポーツブラを着けることがオススメです。(特におすすめブランドはありません)
 
【アイテム・その肆】
ビルケンシュトックのトングサンダル
 
これがおそらく多くの方にとって、ついてこれない最大のマニアックポイントでしょう。
 
私は、ランニングシューズを履きません。サンダルで走ります。サンダルならなんでもいいというわけではありません。ビルケンシュトックのサンダル。しかも、トングサンダルに限ります。
 
(下記の中の一番左ので走りました)

 
20歳のときに24時間ウォーキングをしたときもこのスタイルです。
テーピングにビルケンのトングサンダル。
これで110km、故障なく歩きました。(亀岡市→天橋立)
 
そして帰ってテーピングを外したときは、今まで見たことのないほどむくみのない自分の足を目撃しました。ちなみにテーピングは片方は先生に、もう片方は自分で見よう見まねで巻いたので、自分で巻いたほうは、テープの摩擦によって足裏に5cmくらいの水ぶくれができてしまいましたが、私の記憶が正しければ、半日くらいでその水ぶくれがなくなり、恐ろしい回復力を実感しました。(ホント、鬼滅の世界でしょ、えへへ)
 
ビルケンシュトックを使う最大の理由は、インソールです。足の3つのアーチが崩れないように立体的なソールになっており、かかともホールドされてズレません。指がふんばりやすいようにもなっています。サンダルのベルトも、サンダルと足が離れないようにしっかりと設計されています。
 
とにかく私の中で、足のパフォーマンスを最大にあげてくれるアイテムとして右に出るものはいません。NO BIRKENSTOCK, NO LIFE !!
 
【アイテム・その伍】
5本指ソックス
 
トングサンダルを履いて走るので、必然的に5本指ソックスが必要になります。もちろん、5本に分かれていることで足指をより繊細に意識できるので、普通の靴下で走るより足裏のパフォーマンスがあがります。足袋型の靴下もありますが、機能重視なら、5本指ソックスのほうがいいでしょう。
 
ちなみに、5本指ソックスにトングサンダルで走るのはちょっと恥ずかしいので、夜走るのがオススメです。私は黒いソックス、黒いレギンスパンツ、黒いビルケンサンダルを履いて走ったので、最も目立ちにくいです。気分は忍者ですっ。
 
 
●第4章〈マニアック走法〉
 
では、ここから今回メインであるこだわりの走法について記述します。
 
【走法・壱ノ型】
肩甲骨の下降

イメージは、マラソンランナーの高橋尚子さんです。
Qちゃんの肩関節は常にニュートラルポジションを維持して腕を振り続けています。肩関節がニュートラルポジションにあると、鎖骨はほとんど動きません。肩甲骨は上腕骨の動きに合わせて動きはしますが、基本的にほとんど上腕骨のみが動きます。
 
つまり無駄な動きがないため、省エネかつ、肺に空気を入れやすくなります。
 
しかし、多くの一般ランナーは、肩のポジションがズレたままなので、走ると無駄に上下運動が発生し、バテやすくなります。ちなみに上下運動については肩だけの問題ではありません。結局、足裏の使い方(着地と蹴り方)から動きの負の連動は起きていますので。
 
肩のニュートラルポジションを保持するには、肩甲骨を下降した位置で腕を振り続けることが大事です。肩甲骨の無駄な動きがないことで、体幹の安定性がさらに増します。
 
【走法・弐ノ型】
肘のアクセント
 
壱ノ型と連動して、腕の振り方にもコツがあります。
意識ポイントは肘です。どのような動きでも、腕を動かすときは、基本的に肘が主体です。
 
走るときは、肘をしっかり(真)後ろに振ることで推進力が得られます。しっかりと後ろに振るためには、手首や指には一切、力を入れないことが大切です。そこに力が入ると肘を後ろに振る動きに制限をかけてしまいます。
 
そして、後ろに振った腕を前には振らないことも重要です。
 
腕の振りのアクセントは「後ろ」。そして、肘は胴体よりも前に振らないこと。そうすることで、やはり肩のニュートラルポジションがズレにくくなり、それとともに背面の筋肉を使い続けられるため、推進力を維持でき、体幹の安定性もさらに増します。(腕を前に振ると、その都度背面の筋肉が抜けてしまう)
 
【走法・参ノ型】
胸式呼吸
 
壱ノ型・弐ノ型がきちんとできると、肺に空気を入れやすくなります。
 
外気の酸素と体内の二酸化炭素のガス交換をする場所が肺胞です。肺胞は肺の下の方にあります。そのため、肩で呼吸をしても肺胞での交換がしづらく、回復に時間がかかります。一方、肩甲骨の下あたりに空気を入れるつもりで呼吸をすると効率よくガス交換ができます。壱ノ型・弐ノ型ができている状態は、肩甲骨下に外気を送る胸式呼吸がしやすい状態というわけです。
 
走ると体内の酸素が急速に使われますから、外気から酸素を効率よく取り込まなければバテてしまいます。呼吸の仕方がうまくできていないといくら筋力があってもうまくパフォーマンスを発揮できませんし、長距離を走り続けることは困難です。
 
【走法・肆ノ型】
体幹スクエアの保持
 
体幹がブレると上下運動が起き、バテにつながります。体幹のブレを極力なくすには、上半身については壱ノ型・弐ノ型ができることが条件です。下半身については後述します。
 
両肩の烏口突起と骨盤の前上腸骨棘を結ぶスクエアをなるべく動かさず走り続けることが省エネで走り続けるコツです。そのためには、肩関節においては前述のとおり、足(足裏や足首)は後述しますが、股関節においては、股関節を分離して動かすことができるかどうかが重要ポイントです
 
股関節の分離とは、骨盤は一切動かさず、大腿骨のみが動いている状態です。ところが、足の使い方や肩関節の使い方がまずいと、膝をあげたとき、一緒に骨盤も動いてしまい、無駄な動きが増え、バテにつながるだけでなく、地面からの衝撃を過度に受けてしまう場所が発生し、故障に至ります。
 
【走法・伍ノ型】
母趾の蹴り
 
これが私の走法術の中で最も重要なポイントです。

母趾の先端で地面を蹴ること。これができているかできていないかで全身の崩れの度合いに大きな差がでます。母趾の先端を明確に意識し、正確に使うためにも、靴下とランニングシューズより、5本指ソックスとサンダルのほうが良いとも言えます。
 
母趾の先端で地面を蹴る=足裏の筋肉の収縮=足の甲が伸びている状態=足関節・MP関節(中足趾節間関節)の底屈
 
これが走るときの推進力になります。身体の後ろでこの動きがきちんとできていると、小さな筋肉で大きな動力を生み出せます。

また、足の甲が伸びている状態=足関節の底屈とは、かかとを高くあげている状態です。

(身体の後ろで)母趾先端で地面を蹴る=かかとが高く上がる=膝が勝手に高く上がる状態

「膝を高くあげよう」と意識すると大腿四頭筋を過度に使ってしまい、バテにつながりますが、

母趾先端で蹴る=足底の筋肉を使う→その結果、かかとが高く上がり、膝が曲がる

という方法で膝が高く上がれば、大腿四頭筋は過度に使われないので、しっかりと股関節の運動をしながらも、省エネで動き続けることができます。
 
逆に、母趾の先端ではなく、母趾の腹や母趾の付け根あたりで地面を蹴ってしまうと、母趾の先端は反っている状態(地面から離れて浮いている状態)となり、長母趾屈筋という土踏まずのアーチを形成する筋肉がうまく使えなくなります。そうすると、それに連動して、足関節・MP関節の底屈がおそろかになり、つまり、地面を蹴るとき足首がしっかりと伸ばされず、曲がった状態で身体の前に運ぶことになります。
 
そうすると、着地が変わりバランスが崩れます。
足首を曲げる=前脛骨筋に過度に負担がかかり、そこからバテ始めます。
 
今日、私は久しぶりに走ったわけですが、前脛骨筋ではなく、足の深層筋肉が走行しているアキレス腱より少し上の部分に疲労を感じました。これは足裏がうまく使えている証拠です。
 
ところでこれ、本当は動画で解説したほうがいいのでしょうね。
どうしてもある程度専門用語を使わねばならないので、文章だときっと多くの方が途中で離脱してしまうでしょう。でも、マニアックな方のためにも書き切ります!ざっくり読んでくださって結構です!
 
【走法・陸ノ型】
かかとをつけない
 
ハーフマラソンやフルマラソンをやったことがないので、どこまでこれをやり続けられるのかわからないのですが、ジョギング程度なら、基本、かかとは地面につけずに走ります。
 
(身体の後ろで)母趾先端で地面を蹴り、(=かかとを高くあげて前に送り出す)つま先部分で着地する。
 
そうすると、上下運動が少なくなり、足裏の小さな筋肉たちが推進力を生んでくれるので、特に、大腿四頭筋や前脛骨筋、上腕二頭筋などのアウターマッスルは過度に使われることがないのでバテずに走り続けられます。また、これによって足底筋膜炎や膝関節痛なども防げます。
 
【走法・漆ノ型】
母趾の挟み横アーチ
 
足には3つのアーチがあり、手でいうところの拳の関節が足の横アーチに相当します。


  
このアーチが崩れてしまう人が非常に多いです。
横アーチを作っている筋肉の代表格が、足の骨間筋という筋肉です。
中足骨と中足骨の間に走行しています。
 
骨間筋=トングを挟む力です。
 
ビルケンのトングサンダルで走ると、挟む力を使いやすくなるので、横のアーチが崩れにくくなります。そうすると推進力が保たれ、バテずに走り続けられるということです。私のこの挟む力は、一般の方と比べると圧倒的に強いです。(手の指を挟むと痛いくらいです)
 
(挟む力を体感してもらっている図)

 
【走法・捌ノ型】
腹筋群
 
これは特に私のような身体の人間にとっては重要ということで挙げました。私はもともと背筋群が優位なタイプで、キューピーちゃん体型だったので、腹筋群がの力が抜けやすいです。そのため、下腹部の力が抜けないように意識して走ることが重要です。下腹部の力が抜けたまま走ると、それと連動して足裏の蹴る力が抜けてしまい、膝があがらなくなってバテにつながります。また、内臓が揺れてしまい、それによる腹痛が起きてしまうため、内臓の揺れを防ぐためにも腹筋群の働きが必要です。
 
【走法・玖ノ型】
全身の連動
 
上記の型を全て統合して自分の身体を操って走る。
これで最強の走行フォームの完成です。
 
このフォームを作るためのトレーニング(主にピラティス)と、このフォームで走り続ける走りの練習を重ねれば、故障なくパフォーマンスを最大に発揮していくことができるというわけです!
 
以上、私がやっているマニアック・ランニング法でした。
(ちょいちょい鬼滅風なレポートでした!)
(なんだかんだで5時間かけて書きました)
少しでもマラソン好きな方に理解されますように…