自分を愛せる人はボディクリームを塗っている

私のレッスンを受けられる年齢層は、30代~60代が多いのですが、色んな年代の方とお話ししていく中で、40代の前半の方に、ある傾向が見られると最近感じています。
 
それは、”セルフネグレクト”という言葉が頭によぎってしまうような感覚です。
 
 
 
みなさんそれぞれの性格や趣味、嗜好は全然違います。
だけど心の底で、自分自身の存在をどこかで軽視していて、それが当然だと思ってずっと生きてきたというような、そんな価値観をもっていらっしゃる方が多いような気がしてしまうのです。
 
40代前半の方は、ロスジェネレーション(失われた世代)と呼ばれる世代です。36歳の私も就職氷河期の世代ではありますが、この世代が最も親世代との時代ギャップが激しく、社会的にも最も厳しい時期を過ごしてこられたのではないかと思うのです。
 
成人するまでの中で、自分の意見が全く通らず、親の言う通りにしか生きる道がなかった方や、親に自分の気持ちをないがしろにされ、自己肯定感が育めなかった方が多い気がします。
 
でも、それでも、私の目の前に来てくださる生徒さんは、私のレッスンを通して、何かを変えようと前向きに思い、時間とお金を使って行動を起こされている方です。だから、ロスジェネ世代の中でも、元気な方なのかもしれません。
 
しかし、彼女らに共通する傾向としては、

・空気が乾燥して、身体がカサカサになっているのに、ボディクリームを塗らない
・鏡で自分の姿を見ない
・写真があまり好きではない
・他人は許せるけど、自分の体型を許せない
・自分が嫌だと思っていても、他人の気持ちを優先し、ストレスを溜めてしまう
・そのストレスが身体に現れるほど、溜めてしまう

こういう傾向があるんです。 
 
「ボディクリームを塗らないという人は、案外多いのではないですか?」という質問が飛んできそうですが、これは、私のレッスンを受けに来るような方が、レッスンは受けるのに、カサカサは放置するという心理が、私にとってはよく分からないということなのです。
 
私は生徒さんに、身体の繊細な部分まで指導していますから、皮膚の大切さも、理解していただけるはずだと思っています。「ボディクリームを塗るのは女子力が高い」とか、そういう次元の話ではなく、皮膚が粉を吹きながら「疲れている」と訴えているのに、それを放置している。にも関わらず、私のレッスンを受けるというのが、なんだか矛盾しているように感じるのです。
 
特に、最近、「今までボディクリームを塗っていたけど、ここ2ヶ月塗っていない」と報告をくださった生徒さんに対しては、それは身体のコンフォートゾーンが低下し始めている兆候ですから、レッスンのその場で、いつも自分の身体にボディクリームを塗るときのように、生徒さんの身体に塗ってあげました。
 
その時「きっと生徒さんは、自分の身体の愛し方(扱い方)を知らないだけだろう」と思ったのです。
 
私自身は、長年の身体の研究を通して、自己肯定感を豊かに育み、自分の身体の愛し方を自然と学んできたのだと思います。正直、私は鏡をよく見ます。そして、自分は可愛いなとか、キレイだなとか、むくみがないななど、自然に思うこともあります。しかし、同時に、「私の身体は歪みが少ないから、エロさより標本的なまっすぐ感が否めないな」とか「私の下腹ちゃんはいつも幸せそうだな」とか「シミが濃くなったな」とか、「さすがに皮膚が垂れてきたな」とか、「白髪がめちゃ増えてすごいな」とか、そういうことも自然と思います。
 
しかし、そこに「自分の身体が許せない」だとか「嫌い」という思いは全くありません。それは、超車好きな人が愛車を磨くときのように、あるいは家庭菜園が好きな人が、手塩にかけて野菜や植物を育てるときのように、自分の身体を扱っているのだと思います。
 
だって、本当にすごいシステムの中で私たちは生きているのですから。回復するシステムや、糖を貯蔵できるシステム、または解糖してエネルギーに変換できるシステム、食べたものがうんちになるシステムなど、言語化できない繊細なシステムも含めて、どんなテクノロジーにも敵わない器で起きていることを、毎日のように体験しているのです。
 
そんな私の思想をどこか感じてか、別の40代前半の生徒さんは、「私は、自分を肯定しない自分を変えるためにも、先生のレッスンを受けに来たのかもしれません」とお話ししてくださいました。きっとそうなんです。私は自分を心から尊重しています。その私に魅力を感じてくださったなら、それが一つの目的であるのだろうと思います。
 
今回は、40代前半の方にフォーカスを当てて書きましたが、もちろん、30代にも、30代の思いがあります。30代の特に前半の方に思うことは、「自分が人と同じように事が進まないことがあっても、それについて悲観的になるな」ということです。
 
特に身体は、個体差がとてもあります。だから正直、一人の人間が考えた、一つのメソッドで、マニュアル化したものが、全ての人間に通用するということはあり得ないと思います。自分の身体をよく見て、よく感じて、自分の身体が喜ぶことが何なのかということに気づいてください。思想や理論を鵜呑みにするのではなく、自分が豊かになるために活用すべきものを選ぶのです。
 
知識や情報が、あなたの身体を救ってくれるのではありません。あなたの身体にとって、ぴったりなことをすることで、成果は現れます。刹那的な感情に翻弄されず、グーグルマップを最大にズームアウトしたような視点をもってください。本当は、もっともっとズームアウトして、地球→天の川銀河→おとめ座銀河団→おとめ座銀河団みたいなのがいっぱい見える宇宙までズームアウトする視座も、大人は持つことができるのです。
 
身体づくりは、深堀すると、こういうことまで学ぶことができます。深遠な尊い学びです。