子供の教育現場と身体について思うこと

先日、保育士をされている方が
レッスンに来られました。

保育の現場のことや、
保育士という仕事自体にも興味があったので
生の声が聞けて有意義な時間でした。


 
私がなぜ、保育に興味があるのかというと、
身体の指導をしている私の立場からみて、
子供の大切な身体を美しく健康に育むには
少々理不尽なルールや常識、システムがあると感じているからです。
 
私の元には様々な悩みを持った方がお越しになります。
 
中には、身体に対するコンプレックスが、その人の人生を大きく左右するほど、
大きな問題となっている方もいらっしゃいます。
 
その方の両親の体型や体質、
その生徒自身の幼少からの経過を聞き取ったりして
〈いつからその症状が出てきたのか〉ということを探るのですが、
 
子供の頃は、何も問題なかったけれど社会人になってから
悪い方に急激に変化していったという方もいますが、
 
すでに物心ついたときから、あるいは小学校高学年、中学生くらいから
明らかに脚が太くなっていったり、自分でも歪んでいるなと
何となく自覚していたという方もいます。
 
・いつも内股をしたり、女の子座りをしていた
・足のサイズに合わない靴を履いていた
・いつも背中を丸めてバス通学や勉強をしていた
 
自分の過去を振り返って、このようなことを思い出される方もいます。
 
子供の頃に、身体に対する正しい教育をきちんと受けていれば
人生を左右するほどの大きなコンプレックスを持ってしまったり
疲れやすくて思うようにやりたいことができない身体になったりは
しなかったのではないかと思う方は多く、

まずは、子供と関わる周りの大人が、
正しい知識を持たなければいけないのではないかと考えています。
 
保育園や幼稚園では、地べたに座るときの座り方を教えるとき、
内股に座るのが〈女の子座り〉で
両足を左右のどちらかに出して座るのが〈お姉さん座り〉で
あぐらが〈お父さん座り〉だと教えるところもあるそうです。
 
そのうち、股関節にとって、最も負担がない座り方は
残念ながら?〈お父さん座り〉です。

私は基本、あぐらがデフォルトの座り方です。

 
〈女の子座り〉も〈お姉さん座り〉のどちらも、
骨盤が歪みお尻が垂れ、脚がむくみ、下半身太りになる座り方です。
 
しかし、小さな女の子があぐらのことを〈お父さん座り〉だと教わったら
ダサいからやってくれなくなると思います。。
 
身体の専門家として、
意味のわからない教育をするのはやめてくれ・・・と思うのです。
 
日本には「女が膝を開けるのははしたない」という価値観があります。
 
しかし、美しく振る舞うバレリーナの膝は、思いっきり外に開いています。
膝を開いても、行儀が悪くないし、かっこ悪くないどころか
膝を外に向けると脚が最も長くなり、とても美しいラインになります。

 
 

これは、日本の価値よりヨーロッパの価値の方が優れている
と言いたいのではありません。
 
ただ、内股は身体に悪く、その人を後々、大いに悩ませる種になりかねないから
きちんとした教育をしてほしいと思うのです。
 
他にも、
よく靴が脱げてしまう子供に対して、正しい知識を持つなら、
その子に注意したり、怒ったりしてはいけません。
むしろ、褒めるべきです。
 
その子はとても素晴らしい動きをしているからです。
 
足のサイズに合わない靴を履いたとき、
大人は、靴が脱げないように、足の指を無意識に反らせて歩いてしまいます。

(それを続けることによって、足の骨が変形し、アーチが崩れ、膝→股関節→背骨、肋骨→肩甲骨→頭へと悪影響を及ぼし、取り返しがつかないほど身体が変わってしまいます)
 
でも、子供は、靴に自分の足の動きを合わせません。
本来の正しい動きしかできないので、(指を反らさず、足裏の筋肉を縮めて歩く)
靴が脱げてしまうのです。
 
脱げる理由は、「サイズが合っていない」のであって
その子のせいではありません。
 
その子が自然に正しい動きができているうちに
きちんとサイズがあった靴を履かせてあげるべきです。
 
子供はどんどん成長するので、靴をしょっちゅう買い換えないといけませんが、
足がどれだけ身体に影響を与えるかを理解すれば
それがどれだけ大切な投資になるかがわかるはずです。
 
その子が20代のうちから下半身太りやO脚などで悩みを持ち、
ロングスカートやゆとりのあるパンツで隠すファッションばかりになり
毎日足がひどくむくんで、自宅に帰ったらひたすら休みたいと思うだけになり
60歳になって、膝を痛めたり、腰椎ヘルニアになったりして
あらゆることにお金を使わなければいけないなら、
ちゃんとした靴を履かせ、ちゃんと踏ん張れる足にしていくことが
どれだけ大事で楽な投資であるかがわかるはずです。
 
とは言いつつも、私はまだ子供を直接みて研究する機会が少なく、
これはある程度、仮説の中で書いているところもあります。
 
でも、保育士さんとこのようなお話をすると、とても興味を持ってくださり、
私の知っていることを、子供の教育に携わる方々に伝えていきたいなと思いました。
 
小学校に上がれば、

・ランドセルやその他の荷物が多く、異常に重たい
・置き勉が許されていない
・小学1年生でも、6年生でも同じ机と椅子を使う
・そもそも足によくない上履きを履いている
 
など、問題のある学校もまだまだあるようです。

小学1年生でも6年生でも同じ机と椅子を使って、1日何時間も座らせている
なんていうのは、姿勢を悪くさせたいのか?と感じます。
 
それはつまり、大人が身体に対する知識がなさすぎる
というのがそもそもの問題だと思っています。

保育士さんも、保育園でご自身があぐらをかいて座ってはいけないそうです。
 
理由はやはり、行儀が悪いからだそうで、
正座がお姉さん座りしかダメなのだそうです。
 
その保育士さんは、左重心で、身体の右側に足を出す方向しか
お姉さん座りをしないとのことで、骨盤と腰椎が見事に歪んでいました。
 
その保育士さんは、毎日むくみやだるさがあり
自宅に帰るととにかく休みたいと思うのだそうです。
 
それで仕事のパフォーマンスが落ちていることを
保育園の経営陣にも知ってもらいたいなぁと思います。
 
ただでさえ、保育士という仕事は、給料に見合わないほどの大変な肉体労働であり、
神経を使う仕事なのだから、もっともっと働く人の身体を含めて、
待遇をよくしてあげてほしいなと、思います。