見えない世界

現実世界は一つしかないはずなのに
全く同じ空間に全く別世界が生じている。
 

 
それはラジオの周波数が合わないと聞こえない音のように
見える人にしか見えない世界があるという感じ。

私には見えるものがあって、
でもそれを見落としている人を何度も目にする。

 

それは言葉で伝えても伝えることができない。

せいぜい伝えられることといえば
「あなたには見落としている世界がいくつもある」ということくらい。

 

私には大好きな骨の専門書がある。
16年前に、その専門書に描かれている、23個の背骨たちをデッサンした。

するとそれまで見えていなかったものが見え出した。

 

腰椎の棘突起がなぜ太いのか
胸椎の棘突起はなぜ細長くて傾斜がついているのか
最下部の二本の肋骨はなぜ前面で胸骨とつながっていないのか

一体誰が作ったんだと言いたくなるくらい
一つ一つの骨の存在価値と、優れた構造に感動した。

では、あなたも同じように絵を描けばわかるのか?

私はわかると思っていたけど、それは間違い。
私が感じた感動は、誰もが見える訳ではないんだということに最近やっと気づいた。

 

先日、ナイトミュージアムのイベントに参加したとき
トリケラトプスは頭が非常に重たいため、頚椎の何個かが癒合して、
平たく頑丈な骨になっているという解説を聞いた。

 

ティラノサウルスの前足は極端に退化していて、小さいがゆえにしゃがんだ状態で眠る。

そこから起き上がる時に、その小さい前足を使わないと立てないはずで、その際、
左右の骨が一つに癒合した鎖骨にストレスがかかりすぎるため、何度も疲労骨折を
起こしていたはずという解説を聞いた。

 

「トリケラトプスは頷いたり、振り向く動きができないのだろうなぁ」とか
「ティラノサウルスにとって、あんな小さな鎖骨の疲労骨折なんて、
寝違えとか、強めの筋肉痛くらいの痛さなのではないか」

などと想像して楽しんだ。笑

 

私の仮説は科学から見れば、かなり大雑把な見解かもしれないけど
自分の肉体の感覚から、恐竜の肉体のレベルを計算して、
痛みの度合いや関節の可動域を予測することはできる。

 

私たちの身体は地球の産物である。

私は骨の構造や仕組みからそれがわかる。

どう抗っても私たちはただの地球の産物である。

 

だから、人間同士で社会で生き残るために、権力や強いものに忖度している人間を見ると

本当に何も見えてないバカなんだなと、思ってしまう。