バリセミナー2018を終えてのまとめ

9/22・23でバリセミナーを実施し、
今日、無事日本に帰国しました。

今年のバリセミナーは
トゥンプッワヤンというお祭りと重なったり
24日は中秋の名月と重なったりで
エネルギーが満ちて、バリセミナーにとって
とても相応しい時期に行うことができました。

バリセミナーの一番大きな目的は
“今までの自分”の延長にある未来ではなく
“現状の自分を超えた次元の未来”を設定し
そちらの未来にシフトしていくことを目的としています。

現状の外にある未来を描くには
「今の自分」「これまでの自分」は邪魔になりますので
日常と自分自身を切り離して考える空間を作るためにバリ島へ行き、
外部と接触しない敷地の広いホテルで、集中できる濃密な時間を過ごします。

普段、私たちが捉えられる時間の概念は、
「過去」→「現在」→「未来」という流れになりますが、
実は「未来から時間が流れている」という考え方があります。

例えば、私は19歳のまだ身体の勉強を始めていないころ、
誰に言われたわけでもないのですが「このままではいけない」と強く感じ、
現状の外にある未来を作りました。

その未来は「私は一流の人間になる」というものです。
(当時の一流のイメージ像としてはイチロー選手のレベルをイメージしていました)

学歴もお金も地位も名誉も何もない当時の私にとって、
このゴールは現状のかなり外側にありました。

それを設定したことによって、思考や選択、行動が変わってきます。
例えば、もし私が「一社会人になって社会で働き、幸せな家庭を築く」
というゴールを設定していれば、今の私は存在していないと思います。

これが、「未来から時間が流れている」ということです。

そのとき未来を先に味わうことになるので
「未来は過去である」ということが理解できるようになります。

だから、自分がどのような未来を想像しているかということが、
今の私や、過去の私に大きく影響しているということなんです。

現在の私が描いた未来によって引っ張られていくためには
「心からそうなりたいと思う未来」を描く必要があります。

そのとき、過去の自分とは切り離して考える必要がありますが
過去の傷付いたときに作った価値観が、現状の外の未来を
うまく描けなくさせています。

「幼少期にレイプされたことで異性に恐怖を感じてしまう」
「その苦しみを言語化できず、親にうまく言えないことで親との関係に傷がつき、
 大切な人を作ることが怖くなってしまう」

という具合です。

そして、厄介なのが、これらの価値観は、
本人が思い出せないくらい心の奥底にしまってあり
日常でこの苦しみを健在意識で自覚することはなかなかできません。

この恐怖を奥に閉まったまま、
内発性が発揮できるパワーを生み出すことはできません。

そのために、非日常の空間で自分が奥に閉まいこんだものを認識し
さらに、あらゆる方法でその恐怖や苦しみや悲しみや怒りを
消化させる必要があります。

これらを一気に行うのが、私が主催するバリセミナーの内容です。

私はインストラクターですので参加者の身体にもアプローチをすることで
変性意識状態に入りやすくしていきます。

“今までの自分”とは身体の無意識のくせを自覚せず動いている自分です。

それを、”理にかなった正しい使い方”に変えることで
“別人の自分”、”現状の外の自分”にアクセスしやすくします。

そして身体と内面を融合するワークを行うことで
それまで全く表層に現れなかった、足かせとなっていたものを
一気に浮上させて消化し、そのセミナー会場に”現状の外”を作り出していきます。

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バリセミナーには悩みがある方もいれば、特に問題のない方も参加しています。
年齢も20代から60代までと様々です。

今回は40代前後の方が多かったのですが、バリセミナーに参加した理由は様々です。

・なぜか自信がなく、自分との付き合い方がわからない方

・やりたいことをすべきと思っていて、何者でもない自分に焦りを持っている方

・親への恨みがどうしても解消できず、なのに一緒に生活している方

・恋愛をしたいのにスタートラインにすら立てず、自分でもなぜなのかわからない方

・恐怖心のスイッチが入ると、ブレーカーが落ちたように無気力になってしまう方

・老後の不安、恋愛がうまくいかない、やりたいことがあるのにできない自分を変えたい方

・悩みはなく、自己肯定感が高すぎて、本当にこれでいいのか?と疑問を持っている方

・自分は汚い人間だという気持ちがなぜか取れない方

などです。

ワークを進めていく中で彼女らの話を聞いてくと
なぜそのようなことを思うようになったのかが徐々に見えてくるのですが、
この表層の問題は、カモフラージュであって、
実際のゴールは全然別のところにあります。

心からそうなりたいと思える未来を描く前にその人が本当に解消すべきことは、
本人にとっては盲点になっているので、本人の状況を理解しつつ、
第3者の目をもってそれを導いていくのが私の仕事です。

ある人は、見返りが欲しくて、子供を授かりたいと思っていたことに気づいたり、
ある人は、幼少期の恐怖が自分でもよく理解できなくて登校拒否になり、それに困惑した母に見捨てられる恐怖を解消できていないままになっていたことに気づいたり、

ある人は、自分はこれで何も問題ないと思っていたけど
本当は、昔から人に共感してもらえないことが多く他者をシャットダウンしてきて、
でも本当は、そういう嫌な人を排除するという世界の住人のまま生きて行くのが嫌だということに気づいたり。

そして彼女らは、本当の願いに気づき、
それに相応しいゴールを設定していきました。

人は、一度内発性を伴った未来をビジョンとしてみてしまうと
それは「未来を今経験した」ということになるので
それ自体を忘れてしまっても、そちらに引っ張られていきます。

その未来が実際にやってくるにはタイムラグがあり
その間は未来を更新したり、その未来までの間の未来を描いたり
人生のキーパーソンとの未来を描いたりしていくことで
よりその未来が過去として体験することができます。

今回、バリ2018メンバーはその一連の流れを経験したので
今後、セルフで見直していくこともできるはずです。

ただし、やはり自分一人で考えるだけでは自分にとっての死角が見えないので
今後も年に1,2度は第3者の目を通して自分をみていくことは必要だと思います。

私自身も19歳のときに設定した未来は、今となっては現状の内側に入りつつあるため
そうなると私自身のパワーが出なくなります。

なので私も生徒と同様に、第3者の目を通して
今の私の現状の外の未来を描いていくことが必要です。

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私たちは、そもそも、自分の力ではどうしようもない世界に生きています。

いつ、災害が自分に降りかかるかわかりませんし、
いつ、一番大切なパートナーを失うかはわかりません。
欲しいと思っても、全員が子供を授かるわけではなく
欲しくないと思っている人が子供を授かることもあります。

映画「海を駆ける」で描かれていたように
海は人間の味方でも敵でもなく、ただ「海」です。

人はそこに神秘的な美しさを感じたりしますが
だからと言って、人間に優しいわけではありません。
東日本大震災では、海が多くの命を奪いました。

私たちはそういう世界に住んでいます。

だから、「自分はこのままでもいいんだ」と思いたいとき
そういう世界に住んでいることを前提で考えなければなりません。

このままずっと、平穏が続くということは誰も約束していません。
自分の力ではどうしようもない世界でいかに生きて行くか。
それは「いかに幸せになるか」ではありません。

個人が感じる幸せというものは個人差があるものであり、
私の感覚としてはだいぶ底辺で起きているものだと捉えています。

ある生徒さんが素晴らしい発見をしていました。
「ハッピーとか、ワクワクではなく、もっと切実なものがわかりました。
 これがなかったら生きていけない、これがなかったら死んでいるのと同じ。
 というものです。」

彼女は自分が美しいと感じるアートこそが生きるために必要なものだと気付きました。

宮台先生によると、アートとは、それに触れる(体験する)と、
触れる前の自分には戻れなくなる(=傷つく)ということだとおっしゃっています。

その反対が娯楽。娯楽とは、レクレーション的に楽しんで、
シャワーを浴びて回復する(=元に戻る)ことです。

参照:『ザ・スクエア』映画評

その生徒さんは、「生きることは、傷つくことである」
ということをこれまでに感じ取っていて、今回のバリセミナーを通して、
はっきりと生きるために必要なものとして認識されたのだと思います。

その生徒さんは、親子関係や、摂食障害で悩んだりして
一時期までひきこもり生活をされていました。

私は、そのような社会に適応できないほどの美しさを持っている人が
(クソ)社会で生きて行く強さを身につけたときの素晴らしさに感動します。

そんな、様々な奇跡を2日間でたくさん目にすることができて
私としても本当に充実したひと時となりました。

このような価値ある仕事をし続けられるよう
私自身も未来を更新し続けていきたいなと思います^^