1200年色褪せない空海のブランディング力

倉敷、岡山、高野山の旅から帰ってきました。
最後の高野山の旅が強烈な異世界空間だったので、
東京に戻ってからタクシーに乗ったとき
自分の家の住所がわからなくて驚きでした(笑)

高野山の旅では、空海が開いた真言密教の世界を
学ぶために訪れました。

高野山の山道を車で走らせていくと、
霧で周りが見えないほどだったのですが、
高野町に入ったとたん、街が突然現れました。

主に西洋の観光客と日本人、そしてお坊さんが道を歩いていて、
薬局や整骨院も目にしました。(ちなみに気温は12度くらい)
高野山には大学もあります。信号もあり、水も普通に出ます。

「こんな山奥にこんな街があるなんて。宅配業者は大変だな。。」と思いました。

ただし、この街は普通の街ではなく、今も変わらず、”空海の街”でした。
空海の存在なしにはありえない街です。

空海は1200年前にこの山に聖地を作ったのですが、
そのパワーは今も衰えを感じさせません。
常に信者の心を救うために、力強く存在していました。

空海が”入定している”という奥之院に近い宿坊で1泊し、
真言密教式の座禅も体験しました。
 
宿坊の前でパンシェw

 
大日如来を表している梵字。「ア」と読みます。

 
奥之院にたどり着くまでの約1kmは大きな杉の木に囲まれた空間に、
豊臣秀吉やら吉宗やらパナソニックやらヤクルトやら、
数々の超有名人、有名企業のお墓がゴロゴロ。


 

 

 

 
でも一番ヒットだったのは、「日本しろあり対策協会」が、
駆除したしろありのために建てたお墓。「やすらかにねむれ」のメッセージつき。
きっと創業者かトップが熱心な仏教徒で、殺生をしなければならない世の中に
生きる中でせめてもの気持ちで建てたのではないかと思いました!
 

 
奥之院にたどり着いたころには、「空海がそこにいる」
という気持ちにどうしてもなってしまいます。

奥之院はとても素晴らしい場所でした。
お坊さんのレベルが違うのもすぐわかりました。
※ちなみに写真撮影は禁止です。

空海が入定している場所を正面にみてまずは参拝。
そのあと、お堂の裏側へ回って、入定している
小さなお堂の目の前にいくことができます。

そしてさらに、お堂の地下へ行くと、
入定しているお堂の下側から参拝することができます。

地下の空間はもっとも強烈な空間でした。
空海がいるとしか感じれないです(笑)

その後、金剛峰寺(こんごうぶじ)、壇上伽藍(だんじょうがらん)
などを回りましたが、この”空海の街”に滞在して思うことは、

「確かにここに住んでいたら、心静かにいれるだろう」

ということです。
 

 
 

 
東京とは大違いの空間。でも、ただ田舎であるということではなく、
むしろ田舎だとはあまり感じないです。

「意志をもって、創り上げている空間」と感じました。

空海は高野山に覚りの修行ができる環境を作ったのではなく、
覚ったものがたどり着くといわれている涅槃(ねはん)の境地を
現実世界に表現したかったのではないかと感じました。

そして空海が作った金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅とは
「世の中はこうなっているんだよ」ということが表現されているのですが、
これを表現できる空海は、人類史上最高の天才アーティストなのだろうと思いました。

金剛界曼荼羅を梵字で表現した図

 
胎蔵界曼荼羅を梵字で表現した図

※仏様の絵で表現された曼荼羅の絵はググって確認してみてください

日本に伝わってきた仏教は、インドでブッダが伝えた原始仏教とは
かなり違う形に変わっています。日本人の都合のよい風に変化を遂げています。

世の中には「有る」と「無い」という概念がありますが、
その概念の土台をなるのが「空(くう)」という概念。
「私もあなたも、生も死も、全てが空である」
ということがわかれば、涅槃に到達するそうです。

でも、帰りのタクシーの中でこんなことを感じました。

私は「俗世界が楽しい」「俗世界が好きなんだ」という気持ちです。

「有る」と「無い」の世界にいると、
みんなと一緒にいれて楽しいという感覚もあれば、
ひとりぼっちで寂しいという感覚も現象します。

できれば、一緒にいれて楽しい
という感覚だけを味わいたいのですが、そうはいきません。

うまくやると楽しい時間の方が多い人生になりますが、
下手すると寂しい時間の方が多い人生になってしまいます。

覚ってしまえば、そのどちらも空であることがわかるので、
それによって心を揺さぶられることはないのだろうと思います。

俗世界とは、そんなリスクがあるのだけど、
でも高畑勲監督が描いた「かぐや姫」が渇望していたものを
私は体験しているわけです。

今、絶望の中で生きている人や
生きづらさに耐えかねて自殺する人がいるこの世の中のことを
そんな風に捉えることができる自分と今日出会えて、
高野山に行ってよかったなと心から思いました。

恐るべし、高野山。そして空海。
全く期待してなかったのに心が少し浄化されたようです(笑)

空海が私に与えてくださったヒントを糧に
この学びをパワーに変えて、この世界に発信していこうと思います。

感じたてほやほやな気持ちを残しておきたく、
今感じていることを言葉にしてみました^^